鼻つまりとアルゴンプラズマ療法について

                                        2010年2月7日 アップ

私は鼻が悪いので 鼻つまりの苦しさはよーく知っています。
自分の鼻をよくできないかわりに 患者さんの鼻をよくするのが楽しみになっています。
耳鼻科のお仕事は天職だなあ、と思うことがよくあります。

ここでは 鼻つまりの治療 特にアルゴンプラズマ療法について解説させていただきます。


下記は鼻つまりの原因と治療方法をまとめた表です。
アルゴンプラズマ療法は下甲介粘膜焼灼術に相当します。

はなつまりの原因 治療方法と特徴
下鼻甲介の腫脹 アレルギー など クスリ 抗アレルギー剤
ステロイド点鼻薬  など
クスリが切れるともとにもどるため
ずっと使い続けなければならない
効果不十分な場合あり
手術 下甲介粘膜焼灼術
(アルゴンプラズマ レーザー)
短時間でできる
一年は効果持続が期待できる?
鼻甲介切除術   根治をめざす手術 
長期効果が期待できる
粘膜下下甲介骨切除術 
鼻中隔わん曲  鼻中隔の骨と軟骨の変形
鼻の成長にともない生じる
まっすぐな人はめずらしい
鼻中隔矯正術 根治をめざす手術
鼻茸(ポリープ) アレルギー素因の強い副鼻腔炎 鼻茸摘出術 短時間でできるひとまずの手術
内視鏡下副鼻腔手術 根治をめざす本格的手術

アルゴンプラズマは鼻炎の症状(くしゃみ はなみず はなつまり)すべてに有効なのですが
とくに鼻つまりに有効で 一年は治療効果が持続するとされています。
(昔レーザーをおこないましたが、効果が持つのは3ヶ月程度でしたので画期的です)

実際の例をお示しします。

私の娘(私からの遺伝によるアレルギー症状に苦しんでいました)のCTと内視鏡所見です

内視鏡で 左右の下鼻甲介が白く腫れているのがわかります。
       鼻中隔が右側に軽くわん曲しているのもわかります。

CTでは 副鼻腔に陰影(病変)がないことがわかります。

この鼻にアルゴンプラズマ療法をおこないました。



プローブの先端からプラズマ化させたアルゴンガスを出し
これに高周波電流を流して、下甲介粘膜表面を熱変性させます。
対極板を腕に張ります。
手術時間は片側数分 両側で15分以内に終わります。

麻酔は麻酔薬(4%キシロカイン)と血管収縮剤(0.1%外用ボスミン)を浸したガーゼを
鼻の中に60分以上留置します。

実際の患者さんにお勧めしているのは 次のパターンです
12時頃来院していただいて14時半頃手術 
9時頃来院していただいて12時頃手術


手術直後と術後2週間の内視鏡所見です。



熱変性(簡単に言うと焼けど)した下甲介粘膜が脱落してきているのがわかります。
約2−4週間で縮小した新しい粘膜に変わります。
この間、ゼリー状の物質 血液混じりのかさぶたが付着し、一時的に鼻つまりがひどくなりますので
点鼻薬の使用、鼻の清掃をおこないます。


娘や実際に手術をうけた患者さんの話では 痛みはごく軽度かほとんどないようです。
術後の鼻つまりのつらさは個人差があるようです。

仕上がりまでは
  鼻つまりに効果のあるプランルカスト
  ステロイド点鼻薬  を基本として
 
  痛み止めの頓服薬
  鼻つまりに対する鼻粘膜収縮剤を追加使用していただきます。

術後の生活はほぼ日常どおりでよいと思われますが、
過激な運動や多量のアルコール摂取は控えていただくことをお勧めしています。


アルゴンプラズマ療法を受けた患者さんの最少年齢は10歳!!です。
この子は2週間でよくなりました。

鼻炎の鼻つまりにもっとも苦しむのは身体にエネルギーがあふれる成長期です。
鼻に麻酔ガーゼをいれさせてもらえること
アルゴンを照射するわずかな時間じっとしてもらえることが可能であれば
とても有効な治療法だと感じています。


適応と適応外について

適応
  下甲介の腫脹が鼻つまりの原因である方で

  慢性の鼻つまりに苦しみ、クスリで十分な満足を得られない方
  クスリの使用を減らしたい方
  花粉症の時期を楽に過ごしたい方


適応外
  鼻中隔わん曲が強い方(プローブが入らない可能性があります 鼻中隔矯正術をおすすめします)
  鼻茸のある方(鼻茸摘出または内視鏡下副鼻腔手術をおすすめします)
  局所麻酔薬がダメな方
  ペースメーカーを入れている方(身体に微弱電流がながれるため)


治療費用について
  アルゴンプラズマ(下甲介粘膜焼灼術)だけで900点×2=1800点 
  3割負担で5400円です
  これに初診料または再診料 内視鏡検査 処方料が加わります。
  アレルギーのクスリは結構高価ですので、
  一年中ずっとクスリで治療を続けることを考慮するとかなりリーズナブルと思います。


関心をお持ちになった方は直接クリニックへお電話ください。 

 



追記

医師国保に加入している開業医は、家族に対する自家診療ができません。
ここで提示させていただいた娘の診療に公的医療保険を一切使用しておりません。